『 A World of Piano 』 という顔がどーんとあるPhineas Newborn Jr.の印象的なアルバムが私が小さい頃よく朝に流れていた。母がレコードで流しているのだ。その中にとても気になるフレーズがあってそれが訪れるのをいつも心待ちにして聴いていた。 心待ちの部分は「Lush Life」の冒頭部分であった。曲のはじまったあたりだけが「グっとくる一瞬」で、空気がサワっと変わる。むしろそこだけが強く引っかかっていた。
そしてそんなことはすっかり忘れ、ずいぶんとたった大学生活のある日、図書館で音源を片っ端から聴いてたらそれが流れてきたのだ!「なんでここにあるの?」と。それはモーリス・ラヴェルの「ソナチネ」2楽章とある。 https://music.youtube.com/watch?v=HEyAKYSwxFA&list=RDAMVMHEyAKYSwxFA そのときは申し訳ないがラヴェルがパクッたと思った。なんといってもずっと聴いてたのはPhineas Newborn Jr.だったのでしょうがない。ジャズと思ってたのだ。
そして改めてPhineas Newborn Jr.のセンスに脱帽したのだった。
前奏にサラっともってくるなんて「ああ・・」としか言いようのないセンスだよなあと。
というわけで私はこのラヴェルのソナチネの2楽章に執着していて何度かアレンジしたりした。
しかし引っかかる音楽とはなんなんだろう、非常に不思議だ。
母はもちろんそのソナチネ部分より別のところに引っかかってずっとアルバムを聴いていたわけで、生まれつき引っかかる場所がひとそれぞれ違うのかもしれない。ぞ、と。
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